雨の休日の過ごし方

春分の日の東京は雨でしたね。
彼は前日仕事先の飲み会に出席して朝帰りで、
わたしは久々に広々とベッドを使って寝返りを打ちまくり、
フコフコと2度寝まで楽しみました。幸せでした。
朝起き上がって、雨だったけど洗濯をして部屋干し。
少し掃除と洗い物をして、今日はどうしようかと彼に電話したのは正午。
雨が降っているのがすごくネックで、家で過ごすのもいいかなと思ったけど、
お互いの家に帰宅してしまったので、バラバラに過ごすのも少し寂しい。


私の家と彼の家の距離は歩いて15分程度だけど、
雨の日の15分はなかなか億劫なもので、
お互い「下北でご飯を食べよう」「いやいや、三茶で食べよう」と
自分の移動距離の少ない場所に相手を呼び寄せようと電話で口説き合って10分。
結局わたしが下北に向かうことになった。
お気に入りのプッチの長靴を履いて、わざと水たまりを踏んづけながら15分。
下北でランチを食べ、コーヒーを飲んで少しのんびりしてから、
わたしが、世田谷美術館でやっている、
ロシアの絵本作家イリヤ・カバコフの原画展を見に行きたかったので、
世田谷美術館に移動することにした。
同じ世田谷区内とはいえ、砧公園はなかなか遠くて不便な所にある。
千歳船橋駅から乗るバスを間違えてしまって、すごく長閑な所に着いてしまい、
結局タクシーで美術館にたどり着いた。


カバコフ展は素晴らしく良かった。
挿絵画家という仕事と、当時のソ連時代の自由な芸術表現が許されない状況が
なんだか今の自分の仕事とリンクしているようにも感じたけど、
彼の絵はすごくのびやかで、楽しそうだった。
わたしは今の仕事を楽しみきれていない部分がやっぱりあるので、
やっぱりそういう心の状態は作るものに出てくるもんだなあ、と感じた。
ショップで、カバコフやその他のロシアの絵本作家の絵はがきを数枚買って、
さて、まだ時間も早いし、久々にボーリングでもしに行こうか、と渋谷に向かう。


彼は、痩せていて背も高くないので、ボーリングの球に負けてしまうから、
いつも投げるフォルムがスマートにはならない…のにスコアが高い。
彼が10投目でスペアを出した時点で、わたしの負け&ジュースをおごるのは決定。
あ〜あ、と思ってモニターを見ていたら、映画「CONTROL」の予告が流れた。
ニュー・オーダーの前身バンドであるジョイ・ディヴィジョンのボーカルで、
23歳で命を絶ったイアン・カーティスの生涯を描いたもの。
さすがにわたしはジョイ・ディヴィジョン世代ではないけれど、
彼の中に静かに潜む狂気に、実はすごく興味があった。
彼と顔を見合わせて、ボーリングは1ゲームで終了させて、シネマライズに向かう。
映画の内容は割愛するけど、すごく救われない物語だった。かわいそうで涙が出た。
あと、彼を追いつめた持病の癲癇の発作を見て、金沢に住む妹のことを少し考えた。


映画を見る前に、わたしと彼の共通の友達から飲みの誘いがあって、
映画を観終わってから電話をしたらまだ飲んでいるらしいので合流した。
ほんとは、あの映画を観たままの気持ちで休日を終わらせるのがイヤで、
お酒を飲みたい気分だった、というのもあったんだけど。
お陰で飲み過ぎてしまって、久々に家に辿り着く前に吐いてしまった。


集まった5人のうち、一人が再来月に実家に帰ってしまう。
住んでいる場所も近所なので、ここ4年ほど本当によく集まっては
ワイワイとみんなでゲームをしたり温泉に行ったりして遊んだ。
秋には代々木公園であおぞらえんそうかいを一緒にやった。
なんだかまたすぐに会えてしまう気がして寂しさがまだわかないんだけど、
最近は親しい友人が遠くに行ってしまうことがいくつかあって、
中には、もう二度と会えなくなってしまった友人もいる。
わたしは、それがどういうことなのかまだ分からずにいる。
何となく寂しい気持ちがあるにはあるんだけど、
なんだか心に穴が開いてスカスカしているだけで、そこから先に進まない。


始まりと別れの多い春だからかな?
なんだかそんなことをぐるぐる考えてしまったけど、
いつもと変わらず今日も職場でパソコンに向かって仕事をしている。
昨日は充実した休日だったなぁ。